自己破産
「自己破産」とは、債務者の現在又はこれからの収入や所持している財産では、借金の返済ができない状態にある場合に、裁判所に申立書を提出し、法律的に借金を0(税金や罰金などは除く)にする手続きを指します。
自己破産手続きをすると、現在ある借金(滞納分の家賃・金融業者や銀行に借りたお金など)の全てについて支払う必要がなくなりますが、その一方で時計や宝石類などの高価な財産、自動車や持ち家なども全て没収されることになります。
また、自己破産をしても国に支払う税金や罰金の類は免除されません。
自己破産が裁判所によって認められるためには、以下の条件が必要となってきます。
自己破産を利用できる方
- 「支払い不能」と裁判所から認めてもらえること
- 過去7年内に免責を受けたことがないこと
自己破産のメリット
- 免責を得ると支払い義務がなくなります
- 支払いが一時停止します
- 収入を借金以外のものにあてることができるようになります
自己破産の流れ
自己破産Q&A
- 自己破産をしたことは家族や会社に知られてしまいますか?
- 破産手続を取ったからといって戸籍や住民票に記載されることはありません。本籍の市区町村の『破産者名簿』には記載され、破産手続開始決定が官報に掲載されますが、一般の人がこういった書類を見ることはまずありません。その意味では、周囲の方に知られる可能性はほとんどないと言ってよいでしょう。
ただ、家族と同居している場合は、裁判所からの書類が郵送されてきますので、知られる可能性がないとは限りません。多重債務に陥る大きな原因の一つとして、金銭の問題をつい家族に秘密にしてしまうということがありますので、本来は家族の方に話されたほうがよいかと思います。
会社に対しては、社内融資などを受けていない限り、通常知られることはありません。
- 自己破産をすると家財道具も差押えをされてしまいますか?
- 自己破産をしても生活必需品に関しては、差し押さえられることはありません。 すべての家財道具を差し押さえられたのでは生活に支障を来すことになるので、差押禁止の動産が定められています。次のものについて差押を受けることはありません。
例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、ビデオデッキ、ラジオ、エアコン、電子レンジ、タンスなどです。
テレビなどで見かける赤紙をペタペタ貼り付けるような光景は現実にはありません。よほどの財産家でなければ、債権者が仮に家財道具全部差し押さえたとしても数万円程度にしかならず、執行費用を差し引くとかえって赤字になってしまうだけのことです。
- 自己破産をすると保証人に迷惑はかかってしまいますか?
- 残念ながら、債務者が破産すれば、債権者は保証人に請求をすることになります。保証人は、そのための制度だからです。
ただ、だからと言って、自己破産手続を取らないことで問題を解決できるわけではありません。誠意を持って、保証人の方には話をして、決断することが必要なケースではないか、見きわめることです。
自己破産による解決事例
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Hさん
横浜市戸塚区在住
消費者金融・信販会社7社481万
Hさんが当事務所に債務整理の無料相談にいらっしゃった時は、消費者金融や信販会社など7社から計481万円借り入れをされている状況でした。
Hさんは毎月支払いを続けていましたが、勤めていた会社が不況の煽りを受け倒産してしまい、今まで通り支払いを続けることが難しくなりました。
借入先 | 借入期間 | 借入状況 | 引き直し計算後の金額 | 自己破産後の金額 | ||
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A社 | 8年 | 60万円 | → | 借金は0円+20万円過払返還 | → | 0円 |
B社 | 7年 | 52万円 | → | 借金は0円+10万円過払返還 | → | 0円 |
C社 | 4年 | 50万円 | → | 借金は50万円のまま | → | 0円 |
D社 | 3年 | 52万円 | → | 借金は52万円のまま | → | 0円 |
E社 | 5年 | 81万円 | → | 借金は81万円のまま | → | 0円 |
F社 | 7年 | 156万円 | → | 借金は156万円のまま | → | 0円 |
G社 | 1年 | 30万円 | → | 借金は30万円のまま | → | 0円 |
取引期間が長かった貸金業者社から約30万円の過払い金が返還されましたが、それ以外の借金は減額されず5社369万円の借金が残ってしまいました。そのため返済の目途もたたず、自己破産の申し立てをすることにしました。
Hさんは無事免責がおりたあと、借金に追われる精神的苦痛から解放され大変感謝して下さりました。